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中古マンション購入の盲点 5

自己責任

 郊外のとあるマンションを購入を検討されたお客様、出会った物件は築年数は古いけど、建物から敷地まで非常に手入れされていて、日当たりもよく、専有部も設備は一新されているマンションでした。ベランダも広く、部屋からの眺望も良好で、郊外特有の緑と共存できる環境でした。まさしくお客様の理想に近い物件でした。購入を前提に色々と検証を始めました。

 

 ・不動産としての普遍的価値の側面

 ・住宅ローンと現金のバランス

 ・管理費、修繕積立金などの固定支出の将来の推移

 ・ライフプランの作成による今後の家計の見通し

 ・マンションの長期修繕計画

 

 世の中にベストの物件はありません。管理費の上昇、修繕費の上昇、家計の推移、老後の計画等と色々出てくるリスクは予め知ることで、覚悟や備えができます。

 結論から申し上げますと、今回の物件はお客様的にとって非常に魅力的だったのですが、古語発生する修繕一時金と家計のピークが掃除機に集中することを説明したところ、今回の買付は断念されました。色々な状況や今後の備えで未然に防ぐことが難しい状況でした。理想的な物件でしたが、タイミングを間違えると大変なことになるという状況でした。

 

 時代的に中古のマンションを購入してリノベーションして住む流れ自体は非常に喜ばしいことです。環境的にも負担が少なくて済みます。しかし中古マンションには建物の耐震性とともに家計の耐震性もちゃんと確認しないといけません。建物もそうですが、今後30年~50年間の住居費に家計が耐えられるかどうかの見極めも非常に大切です。そのためには必ず長期修繕計画をチェックと自分のライフプランを照らし合わすことが大切です。

 

 

 今回の件ですが、弊社を含めて不動産仲介会社が修繕一時金について重要事項説明書や契約にあたり告知義務はありません。告知義務の範囲は修繕積立金の改定予定、管理費などの滞納状況、組合の借り入れの有無までは通常調べます。もちろん今回の件に関しましては、売主さんも、マンション管理組合にも非はありません。むしろマンション全体の管理は行き届いていましたし、室内も設備は全部入れ替えられていて非常に清潔でした。すなわち、購入してからこういう状況になってもお客様の自己責任です。

 

 リノベーションの設計事務所の良し悪し、リフォーム工事の工務店の良し悪し同様、物件購入する際の不動産会社の良し悪しもその後の住環境に大きな影響を与えます。不動産会社の言うことを信じるだけでなく、一緒になって色々な視点で物件を検証したり、お客様と一緒に考えてくれるパートナーシップが構築できる不動産会社探しこそ、マイホーム探しの第一歩です。

 

 今回は中古マンション購入時の盲点ということで、長期修繕計画とライフプラン、修繕積立金の徴収方法についてお伝えしました。