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駐輪場問題

 ある、知人からの紹介でとあるマンションオーナーさんをご紹介いただきました。大阪市天王寺区で築古のマンションを所有されていて、1階路面区画の募集に関して意見を欲しいとのことでした。

 

 現地に行くと立地条件は悪くなく、最寄駅からも近く、幹線道路から入った所だったので、苦戦はすることはあまりない物件と思ったのですが、オーナーさんからの要望は空室埋めると同時に駐輪場問題も解決してほしいとのことでした。

 都心部のマンションにはよくあることですが、特に昔の建物には駐輪場がないことが多いです。その上、最近は電動付自転車の普及で坂の多い上町台地でも、車離れが進み自転車保有台数が増えています。こちらの建物も同じ問題を抱えていました。

 

 上記ストリートビューを見ての通り、敷地に目いっぱい建ち、一階は細い共有部以外は路面テナント区画になっておりました。実際現地に行ったら入居者が空室の区画の前の道路に3台ほど駐輪されていました。

 そして区画内は、オーナーさんの自転車置き場に。

 

 オーナーさんからは区画を貸し出したいけど、自転車をどうにかしない事には募集が出来ないという事でした。残念ながら敷地に空地はありませんし、共有部も狭い建物でしたので、廊下に置くわけにもいきません。

 

 普通なら1階路面の魅力である間口はできるだけ触らず、どうにか奥側に駐輪場を造ることを考えます。私も最初はそう考えましたが、どうにも奥に自転車をもっていくにも、共有部は狭すぎて、間口に人ひとり&自転車1台が通れる通路分を造っても、結局利用しずらいと使ってもらえず、最終的に建物の前に停めてしまうだろうと思いました。

 

 それであれば、思い切って間口を半分削ってしまおうと、提案しました。元々立地条件は悪くない区画でしたので、ただし間口を半分削る分、区画の魅力も半分にならないために駐輪場に新設する壁の上部に開口部を作って、光と空気の通り道を作ることで少しでも開放感を出すこと。それともう一つ。

 

 実はこの建物の外観はビンテージ的な風合いがあり、1階にこの区画を入れて3区画あります。そして他の2区画の間口はけっこうオシャレにしているにも拘らず、こちらの区画だけはいかにも事務所のようなアルミサッシがはめ込まれていました。

 

 でも隣の区画は、木目調の建具が入っていて素敵なしつらえです。

 

 なので、駐輪場は区画の間口半分を削って、その分新設する壁の上部に開口部を作って、建具を木目調に変えましょう!と提案しました。そうすれば魅力は今より多少落ちますが、建物外観として統一されて、新しいテナントさんもビルの雰囲気に合った方が入居する可能性も高くなって、その上駐輪問題も解決できます。

 

 オーナーさんも前向きに検討される感じでした。そこから5カ月が経ったある日に久しぶりにオーナーさんから連絡を頂いて現地に行ってみると、

 

 じゃじゃーん!

 素晴らしいです。お伝えしたことを施工されたそうです。

 

 ご提案した部分も。


 ドアノブもオシャレー!

 

 そして、提案してないのに壁にタイルが貼ってあります。たぶんこれは自転車の傷から壁を守るためだと思いますが、なんか可愛くて、いい感じにされてました。聞いたらオーナーさん自ら選ばれたそうです!


 

 オーナーさんがこちらから提案したコンセプトを守りながら、応用されていたので私もうれしかったです。仕事柄よく提案することは多いのですが、大体おんぶにだっこになる事が多いのですが、こちらのオーナーさんはちゃんと理解して自分たちの意思で実行されたのが、本当にうれしかったです。

 

 何よりもこの工事である程度の出費が発生するのに、自分たちでリスクを取って決断されていました。勇気のいる難しい決断でもあったと思います。

 

 さー、今度は私の番です!しっかり入居付けを。

 

 募集開始です!

 

 まずは外観を壊さない看板の設置。

 

 

 木製建具に合わせた、木製枠の看板です。

 

 色は私が塗りました。

 

 結果、募集開始して8日目で申込いただきました。

 

 数日後オーナーさんを含めて申込者とお会いした際、「このオシャレな空間に事務所を構えたい」とのことでした。オーナーさん以上に区画に惚れられていたので、うれしかったです。実は幹線道路沿いに事務所用の路面区画の募集が出ていたのにも関わらず、こちらを選ばれたそうです。年始早々から営業開始で年内は内装工事をされるそうで楽しみです。

 

 ありがとうございます。

 

 今後も何かお困りであれば、いつでもアイディは出しますので、ご用命ください。